ヒロイン気分で映画の世界へ 借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 [エンタメ]

 「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」などの傑作アニメーション映画を送り出してきたスタジオジブリの最新作「借りぐらしのアリエッティ」(米林宏昌監督)は、床下に住む小人の家族の物語。東京都現代美術館(江東区)で開催中の「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」は、小人たちが暮らす家や、小人の目線から見た人間の世界が、映画のセットさながらに再現され、ヒロインのアリエッティになった気分を楽しめる。(谷口隆一)

 会場でまず目に入るのは、角砂糖が一つ手前に置かれた巨大な鉄格子。床下の換気口を大きくしたオブジェで、観客はここをくぐることで、身長約10センチの少女、アリエッティと“同化”し、映画の世界へと入り込んでいく。

 薄暗い通路の奥には、アリエッティの部屋があり、人間の顔ぐらいもある花や背丈ほどの麦の穂など小人が人間の世界から集めてきた草花で埋め尽くされている。見上げるようなワインのビンも、灰皿を利用した水槽も、映画通りの形や色彩。映画で描かれた品々や空間が、そのままの雰囲気で作り上げられている。

 セットを手がけたのが、「スワロウテイル」「キル・ビル Vol.1」などの実写映画で美術監督を務めた種田陽平さん。リアルな作りに加え、独特の世界観を込めた美術を提案し、世界的に評価されているアーティストだ。

 ジブリの鈴木敏夫プロデューサーがほれ込み、「いかにも小人が住み着きそうな部屋を、種田陽平が実際に作ったらどうなるか」と考え、展覧会を企画したという。

 「アニメ映画と実写映画の美術の融合をもって、アリエッティの世界を後世に語り継がれるような、よいセットにつくりあげる」。種田さんは、展覧会の図録で語ったように、鉄や布や草花といった素材の違い、本当に人間が暮らしているような生活感などを見事に再現してみせた。

 実写映画の現場では、費用の問題からセットを組まずにロケ撮影で代替したり、CG(コンピューターグラフィックス)を使って実写と合成するやり方が進む。今回の展覧会は、セットだからこそ醸し出せる独特の空気感を、アピールする場にもなっている。

 劇場でアリエッティを見てから行けば、平面に描かれた世界が完璧(かんぺき)に立体化されていることに驚くだろう。展覧会を先に見た人は、自身が歩き回った空間が、そのまま映画に登場していることを楽しめる。

 今回の映画では、宮崎駿(はやお)監督が企画・脚本を担当した。宮崎監督によるイメージボード(シーンのもととなる絵)も展示中。巨匠ならではのイマジネーションの豊かさを堪能できる。

 10月3日まで。午前10時~午後6時。月曜休(20日は開館し、21日に休館)。一般・大学生1200円、中高生900円、小学生600円、小学生未満無料。問い合わせは、(電)03・5245・4111。






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