眠気対策の切り札・カフェインはいつ摂るのがベストなのか [豆知識]

■眠気覚ましの定番・カフェインの効果

 目覚めに一杯、あるいは退屈な会議のときに一杯と、眠気覚ましの飲み物といえばまず、コーヒーやお茶などのカフェイン飲料が思い浮かびます。では、どのようなメカニズムで、カフェインが眠気を取ってくれるのでしょうか?

 脳の中で働く睡眠物質のひとつに「アデノシン」があります。アデノシンは、「GABA作動性神経」を通じ、脳の活動を抑えたり、視床下部にあるノンレム睡眠の中枢に働いて脳全体を眠らせたりする働きがあります。このため、アデノシンが脳に溜まってくると眠気が強くなってくるのです。

 カフェインは、アデノシンが細胞に作用することを邪魔して眠気を減らします。また、脳の「報酬系」という部分を刺激するので、起きているのが楽しく何となくハイな気分にして覚醒度を上げてくれます。


■カフェインの即効性・効果の持続時間

 カフェインを飲むと、一部は胃から、残りの大部分は小腸から吸収されます。吸収の速度は比較的早く、口から入った45分後には99%が吸収されています。カフェインを摂ってから血液中の濃度が最大になるまでの時間は、条件によってばらつきがあり15分〜120分かかります。

 たとえば、温かいコーヒーを飲んだ場合、血中濃度が最大になるのは摂取後30分〜1時間ですが、アイスコーヒーを飲むと小腸粘膜の毛細血管が収縮し、胃の運動も低下するので、1〜2時間後にやっと最大値に達します。

 血液中のカフェインの濃度が最高値の半分までに減る時間(半減期)は、健康な人の場合2時間半〜4時間半。年齢や肝機能で変化するので、若い人で1〜2時間、高齢者で4〜5時間がカフェイン効果の目安です。


■妊娠中・授乳中のカフェイン摂取

 妊娠初期は、ホルモンの関係で眠気が強くなります。また、出産後は赤ちゃんの睡眠・覚醒パターンに振り回されて寝不足になりがちです。しかし、妊娠や授乳中はカフェインは控えてください。

 カフェインは胎盤を通して胎児にも届きますし、カフェインの成分は母乳の中にも出てしまいます。胎児や新生児、乳児は肝臓での代謝機能がまだ十分ではないため、カフェインの効果が強く長く続いてしまい危険です。


■カフェインを多く含む飲み物・食品

 カフェインは、コーヒー木や茶木、カカオ木に含まれています。ですから、これらの植物を原料とした製品には、多かれ少なかれカフェインが含まれています。

 また、たとえばコーヒーでも、豆の産地や種類、お湯の温度、抽出時間、抽出量でカフェインの量が違ってきます。主な飲み物のカフェインの含有量は、次のとおりです。

○コーヒー 1杯
・ドリップ 84〜112mg
・インスタント 60〜71mg
・エスプレッソ 62mg
・カフェインレス 1〜4mg

○紅茶 1杯
・ティーバッグ 27〜40mg
・茶葉 8〜30mg
・インスタント 20mg

○ソフトドリンク 350mL
・マウンテンデュー 56mg
・コカコーラ、ダイエットコーク 46mg
・サンキストオレンジ 42mg
・ペプシコーラ 38mg

○強壮ドリンク 1本 50mg

○医薬品
・眠気防止薬 100〜200mg
・解熱鎮痛消炎配合薬、総合感冒薬、鎮咳去痰配合薬、鼻炎用内服配合薬、乗り物酔い防止薬 1回分 20〜50mg

 コーヒーやお茶にはカフェインが含まれていることを知っていても、チョコレートやココア、コーラ、栄養ドリンクは見落されがち。チョコレートやココアは、コーヒーに比べてカフェインが少ないですが、興奮・覚醒作用があるテオブロミンという物質も含まれています。夜更かしな子どもや夜にお菓子を食べる習慣がある人は、これらのものを過剰に摂っていないかチェックが必要。これらに含まれるカフェインとテオブロミンの量は、次のとおりです。

○チョコレート(1オンス:28g)
・ブラック:5〜35mg、150〜300mg
・ミルク:1〜15mg、75〜150mg
・ホワイト:1〜5mg、15〜25mg

○ココア(5オンス:150mL)
・ココア:2〜20mg、75〜150mg
・ミルクココア:1〜15mg、50〜100mg


■上手なカフェインの摂り方

 睡眠物質のアデノシンをブロックすることで、カフェインは眠気を覚ましてくれます。そして、作業の成績も上げてくれます。この働きは、覚醒の水準が低いときや疲労が激しいときに特に高い効果を発揮されます。

 ですから、朝目覚めたときにコーヒーやお茶を飲むことは、新しい1日をすっきりした気分で始めるために理にかなっています。

 コーヒーブレイクやティータイムにカフェインを摂ると、日中の眠気を減らしてくれます。昼寝の後の睡眠慣性(まだ眠っていたいと思う気持ち)を早くなくすためには、カフェインを摂るタイミングが大切です。

 夜の睡眠に悪影響を及ぼさないために、昼寝は30分以内が勧められています。一方、カフェインを摂ってから覚醒効果を発揮するまで、30分のタイムラグがあります。ですから、昼寝を30分で切り上げて、しかもスッキリと目覚めるためには、昼寝の前にカフェインを摂るのがベストです。

 眠りたくないから、あるいは眠る時間がないからといって、コーヒーをガブガブ飲むのは考えものです。毎日5〜10杯以上のコーヒー(カフェインにして 500〜1,000mg)を飲み続けると「カフェイン中毒」になることがあります。この状態になると頭がスッキリするという段階を超えて、不眠や不安、せん妄、痙攣、不整脈などに苦しめられてしまいます。

 甘い缶コーヒーをたくさん飲んでいる人は、「缶コーヒー症候群」になる危険性があります。この病気では高カロリー飲料を多く飲むことで肥満になり、のどに付いた脂肪によって起きる睡眠時無呼吸症候群がさらに日中の眠気を増悪させる、という悪循環に陥ってしまいます。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」ですね。


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